近年、ワークライフバランスが見直される中、これからの時代の中心的な考え方として注目されている「Well-being(ウェルビーイング)」。
ウェルビーイングとは、幸福や満足感といったポジティブな心理状態を意味します。また、厚生労働省では、「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」としています。
ウェルビーイングは、単に個人が幸せであれば良いというものではなく、SDGsの「誰一人取り残さない」社会・環境・経済のバランスがとれた社会を目指すものであるとも言われています。全世界が、サステナブルで幸福な社会を目指す背景からも、今後、ウェルビーイングに関するビジュアルが求められることは間違いありません。
そこで今回は、幸福度を測る指標として、ポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマン博士による「PERMA」理論の5つの要素と、世論調査・コンサルティング業ギャラップ社が定義した5つの要素を、それぞれの言葉からイメージさせる画像をキュレーションしました。関連画像と合わせてご覧ください。
ポジティブな感情には、希望、興味、喜び、愛、思いやり、感謝などがあります。そしてこれらの感情は、自身で育成することができるとも言われています。例えば、大切な人と一緒に過ごす、楽しめる趣味や創造的な活動をする、高揚感やインスピレーションを与える音楽を聴く、などの行動をすることで、ウェルビーイングにつながる身体的、知的、心理的、社会的資源の構築に役立つそうです。
エンゲージメントに関する研究では、1週間毎日新しい方法で自分の強みを使おうとする人は、6ヶ月後に幸福度が上がることが分かっているそうです。エンゲージメントを高める方法には、時間を忘れてしまうような本当に好きな活動に参加する、自然の中で時間を過ごし、周りで起こることを観察してみる、自分の人格的な強みを活かし、学び、得意なことをする、などがあげられています。今この瞬間に生き、目の前のタスクに集中することが幸福度に繋がるんですね。
PERMA理論における人間関係とは、他者からサポートされ、愛され、評価されていると感じることを指します。また、社会的なつながりは年齢を重ねるにつれて特に重要であることも証明されており、高齢者の身体的健康の向上に寄与しています。興味のあるグループに参加したり、他者に質問をしてその人のことをもっと知ろうとしたり、身近な人との友好関係を築くことが、幸福感、満足度を高めます。
人生の目的がある人は、より長生きし、人生の満足度が高く、健康問題が少ないことがわかっています。自分の人生は何のためにあるのだろうか、という意味や意義を考える、たとえば何かの使命といったものの存在を信じる、情熱をどのように他者のために使うことができるかを考える、などのようなことで、自分の人生の意義や目的を改めて考える機会を作ってみても良いかもしれません。
PERMAにおける達成とは、目標に向かって努力し、それを達成した結果であり、やろうとしたことをやり遂げようとする自己動機づけのことです。個人が誇りをもって人生を振り返ることが出来るため、ウェルビーイングに大きく貢献します。と言われています。これには、具体的、測定可能、達成可能、現実的、時間的制約のある目標を設定することで、醸成できるそうです。
キャリアというと、仕事での能力や出世などを考える人もいますが、ここでいうキャリアは、ボランティア活動や家事、育児、勉強なども含みます。仕事や私生活でのキャリア構築の幸福です。自分の1日の過ごし方に満足しているかという意味もあります。ワークライフバランスの充実感が、幸福感を見出すということになります。
社会とのつながりに関して幸福である状態で、交友関係の量だけではなく、信頼でき愛情のつながりのある人間関係があるかどうかがポイントになります。学校や職場、家庭など自分が属している場所や、社会から得られる人間関係やつながりへの満足感、信頼感、安心感などが、ウェルビーイングの要素に大きく関わるということになります。
経済面の幸福な状態とは、現在の収入や資産への満足感や安心感がその要素です。必ずしも収入の多さに直結するのではなく、自分にとってその収入や資産が十分であるかが指標となります。また、自らが持つ資産を他人のために使うことができた時(寄付など)にも幸福を感じるとされています。
身体的に健康で、毎日思ったように行動できるエネルギーがあるかどうかが基準となります。ビジネスで考えると、仕事に対するモチベーションも含まれます。基本的なことですが、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事を心がけることが、体の健康につながり、持続的な幸福感を得られることでしょう。
自分の属するコミュニティとのつながりにおいて幸福な状態のことです。
家庭・職場・学校・友達・居住地域などの各コミュニティとのつながりの中で、自分がコミュニティに貢献することや、お互いに影響を与え合うことで、幸福感や充実感を感じることができます。
「幸福」という言葉は、直訳すると「happiness」になり、「well-being」とは少し意味が異なります。ハピネスは単一的で瞬間的な幸せであるのに対し、ウェルビーイングは持続可能で多面的な幸せを指します。
そこが、ウェルビーイングを表現するために重要な点だと思いました。なので、瞬間的なハッピーな写真というより、持続的で長期的な「心の豊かさ」を感じ取れるビジュアルを選ぶことに注力しました。
そして、これらのビジュアルから発するものが、じんわりとみなさんにも幸福感を得られる時間になっていただけたら幸いです。