Apples and Oranges|ポール・セザンヌ
世界の名画の中でも印象派のような日本で人気が高い作品は広告利用(商用利用)したいと考える方も多いでしょう。しかし著作権がどうなっているのか、広告利用する場合どこに問い合わせれば良いのかなど、わかりにくい部分もあります。そこで本記事ではを広告利用する場合の手続きや注意点について解説していきます。印象派についての解説や代表的な作品なども合わせて説明していきます。
【目次】
・印象派・後期(ポスト)印象派とは?
・印象派の絵画を広告利用(商用利用)するには?
・印象派の代表的な画家とその作品
・印象派の絵画を広告利用(商用利用)する際のまとめ
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印象派は19世紀後半のフランスで起きた芸術運動のことを指します。印象派は写実主義から派生した運動で、明るい色調が特徴的です。描く対象物の時間や空間による光の変化など、そのものの印象を描こうとしました。そのため、アトリエではなく屋外の風景や人物を描いた作品が多く残されています。現在では高額で取引されている印象派の作品ですが、登場時は全く世間に受け入れられませんでした。これは、サロンを主催する王立絵画アカデミーの設ける基準に当てはまらなかったことが主な原因です。印象派を代表する画家にはエドゥアール・マネ(『草上の昼食』・『オランピア』)、クロード・モネ(『印象・日の出』・『日傘をさす女』)、オーギュスト・ルノワール(『ポン・ヌフ』・『ブージヴァルのダンス』)などが挙げられます。
後期(ポスト)印象派は1886年から1905年までのおよそ20年間、フランスを中心に活躍した画家の総称です。印象派と違いグループに含められている画家同士に画風の一致はありません。なぜなら後期(ポスト)印象派は1つの運動ではなく、印象派の影響を受け、なおかつ独自の路線を貫いた画家をまとめて呼んでいたからです。また後期(ポスト)印象派の画家達は、浮世絵の構図を参考にしていたことでも有名です。後期(ポスト)印象派を代表する画家としてはフィンセント・ファン・ゴッホ(『星月夜』・『ひまわり』)、ポール・ゴーギャン(『黄色いキリスト』・『タヒチの女』)、ポール・セザンヌ(『赤いチョッキの少年』・『松の木のあるサントヴィクトワール山』)などが挙げられます。
ここでは絵画を商用利用する際に、知っておかなければならない点について解説していきます。あらかじめ確認しておくと、トラブルに巻き込まれるリスクを避けられます。
【絵画の著作権】
著作権は、印象派をはじめとする絵画や小説、音楽などの著作者の権利を守るために設けられているもので、著作者人格権と著作財産権に分けることができます。著作権には保護期間があり、国によって異なりますが、欧米諸国や日本では著作者の死後70年間とされています。保護期間が過ぎると著作権が消滅し、パブリックドメインとなります。
著作権で注意したいのは、写真の著作権です。写真もまた、撮影者を著作者とする著作物なので、アングルや構図などに創造性が認められれば、撮影者に著作権が発生します。逆に写真に創造性が認められなければ、撮影者に著作権は発生しません。例えば、本ページで掲載している平面的な絵画を忠実に再現するために撮影された写真には、創造性が認められないため、著作権は発生しません。
【商用利用するための手続き】
上記で説明したよう著作者が死亡してから70年経過すると消滅するため、大半の絵画作品は基本的に商用利用できます。ただし、作品の保有者・団体への許諾が必要な場合もあります。特に絵画をベースに改変して新たな作品を作る場合は注意しましょう。著作者本人や遺族、作品の保有者・団体の名誉を傷つけるような改変は著作者人格権の侵害に該当する恐れがあるからです。このような著作者人格権のトラブルが発生する恐れもあるので、商用利用する際は所有者に許諾申請を取るのが安全です。
実際に絵画を商用利用する際は、著作権の消滅したパブリックドメインの絵画を公開している美術館サイトや、絵画の画像素材を提供しているサービスを利用することが一般的です。パブリックドメインとなった作品でも所有権自体は美術館側にあります。商用利用を禁止しているものや、使う場合は引用先を明記するものもあるので、美術館サイトを利用する場合は利用規定を確認してから使いましょう。画像素材サービスの場合も利用規約や制限事項の確認が必要です。イメージナビでは、取扱中の画像素材を安心して使ってもらうために各種許諾・権利確認を行う「ライツクリアランス」サービスを実施しています。不安な場合の相談も受け付けているので、初めて絵画を商用利用する場合はぜひご利用ください。
ここでは印象派の代表的な画家とその代表作について解説していきます。
エドゥアール・マネ(1832-1883)
エドゥアール・マネのポートレート写真
エドゥアール・マネは1832年に生まれたフランスの画家です。政府高官の父と外交官の娘である母のもとに生まれました。軍学校の受験に失敗した後、1850年にトマ・クチュールのアトリエに入ることでマネは画家のキャリアを始めました。アトリエでの修行時代からヨーロッパ中を旅して画家として腕を磨き、何度もサロンに応募しては落選を繰り返します。1863年にはサロンに落選した作品のみを集めた落選展に『草上の昼食』を出品したのですが、批評家や観衆はその作品を強く拒絶しました。1865年に同じく落選展に出品した『オランピア』も受け入れられることはありませんでした。地道な活動が実り徐々に彼の画家としての力を評価してくれる批評家も出てきて、マネの影響を受けた画家たちも周りに集まってくるようになりました。マネは印象派と呼ばれる一団とは付かず離れずの距離を取りながら、自分の理想の絵を突き詰めていき、1883年の4月にパリにて没しました。
『草上の昼食』習作(1863年|コートールド・ギャラリー)
元々のタイトルは『水浴』という名前で、1863年にパリのサロンに出品されました。サロンからは拒絶された上に、落選展でも批評家から散々な評価を得たいわくつきの作品です。歴史的には、画家エドゥアール・マネの名前を一躍有名にした問題作として知られています。イタリアの巨匠ティツィアーノの『田園の奏楽』に着想を得て、それを現代風にアレンジした、当時としては挑戦的な作品です。男たちが正装しているのに対して女は一人裸になって鑑賞者に向かって挑発的な視線を向けているというのがこの絵の特徴で、神話的な構図を日常に落とし込むことによって、伝統的な絵画もまた現実の延長線上にあることを描いています。
『オランピア』(1863年|オルセー美術館)
ティツィアーノの作品から着想を得て、マネが完成させた絵画です。白いベッドに裸の女性が寝そべり、その後ろに黒人の召使いが黒猫とともに横に立っているというのがこの絵の構図です。鑑賞者は裸の女性が黒猫と併せて描かれている姿を見ることによって、この女性が娼婦であることが理解出来るようになっています。画面全体の落ち着いた色彩と、その表現内容の落差が当時の鑑賞者に衝撃を与えました。また猫は自由の象徴でもあるので、新しい自立した女性像を提示したと見ることもできます。
『フォリー=ベルジェール劇場のバー』(1882年|コートールド・ギャラリー)
エドゥアール・マネ最晩年の作品で、死の前年に完成させたことでも知られています。正面に女給仕を配し、背景の鏡にはフォリー=ベルジェール劇場と女を口説く男の姿が映るという構図となっています。女給仕は物憂げな目を画面の外に向け、劇場の騒がしさと好対照です。移り変わりやすい都会の喧騒をそのまま切り取ったようなこの作品は、社会の成熟と物事の移ろいやすさを同時に表現することに成功しています。
クロード・モネ(1840-1926)
クロード・モネのポートレート写真
モネは1840年に生まれたフランス・パリに生まれました。幼いころから戸外制作を好み、19歳で画家を志します。当時、アカデミックな画風を評価するサロン・ド・パリ(通称サロン)に不満を抱いていたモネは、ピサロ、ルノワール、シスレーなどとグループをつくります。志をともにする仲間らと戸外制作を通じて自然の光の描写を探求し、やがて明るく鮮やかな光を表現する筆触分割の手法を生み出します。そののちも光の変化や季節の移ろいを捉える試作を続け、同じ風景を時間や視点を変えながら何度も描きました。日本の浮世絵にも多大な影響を受け、数多くの浮世絵を収集したことでも知られています。浮世絵の斬新で大胆な構図は彼の作品にも生かされました。モネの代表作でもある「印象、日の出(1872)」は、のちの印象派の名前の由来となり、生涯を通して巧みに光を描き続けた巨匠として、のちのゴッホやゴーギャンといった後期(ポスト)印象派にも影響を与えました。
『ルーアン大聖堂』(中央:The Portal and Saint Romain Tower, Full Sunlight Harmony in Blue、右:Rouen Cathedral Facade at Sunset)
モネはフランスのジヴェルニーに住んでいた時期、取材旅行に出かけた先にあったルーアン大聖堂を連作で描きました。その数は33点にも上ります。異なる時間帯に描くことで光の変化によって変わる大聖堂の色彩の妙を表現しました。
『睡蓮の池にかかる橋』(1899年)、『睡蓮』(1915年|ノイエ・ピナコテーク)
モネは晩年、自宅に造成した日本風の庭の特に睡蓮をモチーフに、多くの作品を描いています。太鼓橋、柳、池、睡蓮といった全景を描いたものや、睡蓮と水面、そしてそこに映る柳や光の陰影にフォーカスしたものまで、様々な構図と筆使いで巧みに風景を捉えました。
ポール・セザンヌ(1839-1906)
『ポール・セザンヌの自画像』
セザンヌは1839年にフランス・エクスで生まれました。銀行家の父のもとに生まれ、父の力入れで法学部へ通いました。しかし、学生時代から親友であった小説家エミール・ゾラの勧めで絵を志してパリへ移住し、ピサロ、ルノワール、モネらの印象派作家と親交を持ちます。セザンヌの作風は、当初ロマン主義的な暗く重たい作風で、サロン・ド・パリ(通称サロン)への応募を繰り返すも落選が続きました。ピサロらの影響で明るい印象主義の技法を身に着けますが、サロンには拒否され続けます。やがて親交のあった印象派からも離れ、制作拠点を故郷の南フランス・エクス=アン=プロヴァンスへ移します。この頃からモチーフの構成と色彩を中心に独自の表現を突き詰めていき、のちのキュビスムをはじめとする20世紀の美術に大きな影響を与えました。そのことから「近代絵画の父」として言及され、現在では後期(ポスト)印象派を代表する画家として広く知られています。
『りんごとオレンジ』(1899年|オルセー美術館)
セザンヌといえば、りんごやオレンジをはじめとする卓上のモチーフを描いた静物画が非常に有名です。本作品はその中でも代表作として知られる1899年に描かれた名画です。いくつかの視点を組み合わせて描かれた果物は強い存在感を放ち生命力があふれています。
『大水浴図』(1898-1905年|フィラデルフィア美術館)
セザンヌは水浴をテーマにした作品も多く描きました。本作品はその中でも到達点と呼ぶべき名画です。三角形を思わせる木々に取り囲まれた安定した構図と透明感のある色彩、そして作品全体を包む安らかな空気感。楽園を感じさせる美しい情景です。
印象派の絵画の著作権は消滅しているため、基本的には商用利用も可能です。ただし、作品の保有者・団体への許諾が必要な場合もあるので注意しましょう。また、絵画を改変して利用する場合は著作者人格権への配慮も必要です。このように著作権が消滅しているからと言って、自由に商用利用できる訳ではありません。許諾・権利確認の手続きに手間がかかる場合もあるので、絵画作品を商用利用するならイメージナビの画像素材を使うのがおすすめです。取扱中の画像素材を安心して使ってもらうために各種許諾・権利確認を行う「ライツクリアランスサービス」もぜひご利用ください。
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